〜 脇田雄太コラム 第11回 〜 「生活保護の方も立派なお客様です!」
こんにちは!不動産投資家の脇田雄太です。
実践している大家さんも多いと思いますが、保有するアパートなどの物件に、
「生活保護世帯」を受け入れることは、ボロ物件投資に長期安定的な収益をもたらします。
なぜなら、生活保護の受給者が家賃を滞納した場合、自治体に生活保護費の支給を止められてしまう可能性があるから。
つまち、家賃の滞納が基本的に起こらないわけで、「賃料は安いが滞納リスクの低い入居者」として、ありがたい存在だと言えるのです。
とはいえ、生活保護世帯向けの賃貸住宅には、それなりの運営ノウハウが必要ですから、安易な投資判断は避けなくてはなりません。
今回はそんな、生活保護とボロ物件投資の関係について、分かりやすく解説してみたいと思います。
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生活保護とは?
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まず始めに、生活保護の仕組みについておさらいしておきましょう。
生活保護の制度は、昭和25年に制定された「生活保護法」において、
生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長すること。
と規定されています。
生活保護の申請は、日本国民であれば誰でも申請出来ますが、実際に
・生活保護が受けられるかどうか?
・どのような扶助がどの程度受けられるか?
は個々の世帯状況によって異なり、支給が認められない場合もあります。
また、生活保護費の受給中に、就職などで収入が増えたり各種の届出を怠ったりした場合は、支給額が減額されるだけでなく、支給そのものが停止されることもあります。
ちなみに、生活保護には8種類の扶助があり、
1. 生活扶助 衣食など日常の生活に必要な費用
2. 住宅扶助 家賃や家屋の補修などに必要な費用
3. 教育扶助 義務教育に必要な学用品、学校給食費などの費用
4. 医療扶助 病気やけがの治療に必要な費用
5. 出産扶助 お産に必要な費用
6. 生業扶助 勤めたり、仕事を始めたり、仕事を覚えるために必要な費用
7. 葬祭扶助 葬儀のために必要な費用
8. 介護扶助 介護が必要と判断された人に必要な費用
このうち、賃貸住宅の家賃に該当するのは、2.の「住宅扶助」です。
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住宅扶助には上限がある
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では、この住宅扶助について少し掘り下げてみましょう。
住宅扶助とは、文字どおり「住宅費を給付する」扶助で、家賃や地代等を支払う必要があるときに支給されます。
住宅扶助の支給額は、世帯の人数や地域の賃料相場に応じて自治体ごとに上限があり、長崎市においては
・単身世帯 36,000円
・2人世帯 43,000円
・3〜5人世帯 47,000円
・6人世帯 50,000円
・7人以上の世帯 56,000円
と決められています。
参照:https://www.city.nagasaki.lg.jp/fukushi/470000/471000/p027134.html
ちなみに、この上限額を超えた賃貸住宅に住むことも、止むを得ない事情がある場合は認められますが、超過分は1.の「生活扶助」から負担することになります。
つまり、生活保護世帯に入居してもらうためには、上限額以内で賃料を設定する必要があるだけでなく、
・単身者世帯はワンルームアパートへ
・ファミリー世帯は広めの戸建へ
など、物件ごとに家族構成を想定しておく必要があるんですね。
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徒歩圏内がポイント?
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また、生活保護世帯では、マイカーの所有が基本的に認められていないため、スムーズな入居付けを行うには、
「コンビニ・スーパーまでの徒歩圏内距離」も、重要なポイントとなります。
一般向けの戸建やアパートの場合は、コンビニやスーパーの距離が遠い立地であっても、月極駐車場を確保しておけば問題なく入居付け出来るのですが、生活保護世帯向けのアパートでは、
「徒歩10分圏内にコンビニ・スーパーがあること」
で集客力が格段に向上しますから、物件選びの段階からきちんとリサーチしておくことが大切です。
もし仮に、徒歩圏内にコンビニ・スーパーが無いという場合は、
「宅配してもらえるスーパーや生協の案内チラシ」
を事前に準備しておくなど、必要な対策を打っておきましょう。
逆に、生活保護世帯向けの賃貸住宅では、
「月極駐車場の確保」
が不要になりますから、駐車場の面で不利な物件を生活保護世帯向けに仕上げるというアプローチも、十分に有りだと思います。
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社会福祉に貢献しよう
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さて、今回のテーマはいかがだったでしょうか?
生活保護世帯とボロ物件投資のマッチングは、非常に優れたものがあります。
困っている人に物件を貸し長く安心して住んでもらえば、私たち大家だけでなく地域の社会福祉にも貢献出来ますから、積極的に検討してみて下さい。
生活保護世帯向けの賃貸住宅には、これ以外にも多くの運営ノウハウがあるため、全てを解説することは出来ませんが、また機会があれば書いてみたいと思います。
長期安定の賃貸運営を目指すため、あらゆるニーズを取り込みたいものですね。
今回はこのへんで。
脇田雄太でした。